dr-machida.com 足と靴の医学 / 整形外科医師 : 町田英一 | Menu |
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靴を選ぶポイントはなんですか? |
靴屋に行く時には、どんな靴が欲しいのかをハッキリと決める事です。靴は目的によって選ばないと足を痛め、歩けなくなればカラダ全体の不調の原因になります。主に4種類を考えましょう。「お洒落で、履きやすくて、歩くのが楽で….. 」と欲張ると結局は中途半端になり使わなくなってしまいます。
1.ウォーキング・シューズ 2. お洒落靴 3. 簡単に履けるサンダル 4. 室内スリッパ
ウォーキングシューズはできればヒモ靴または面テープ(マジックテープ)の靴をお勧めします。長時間歩くにはインソールの調整、またはインソール作成(オーダー・インソール)をお勧めします。
マチスリッパ
フローリングの床で裸足になるのは危険です。特に足の裏に胼胝(たこ)がある場合には痛みが強くなるのでスリッパをお勧めします。すでに胼胝、魚の目や踵の痛みがある時には特に柔らかいインソールが入っているマチスリッパをお勧めします。
ウォーキング・シューズを選ぶポイントはなんですか? |
歩くための靴として最低限度の条件は.....
靴を履いて踵に指を入れて見るのが捨て寸ではありません。靴は普通に履くと足が前に滑るので踵に隙間ができてしまいます。そこで、踵がぴったり入るように、踵を少し床に押しつけて履きます。(左写真) そして靴の上から指先を触って見ます。(右写真) このときに足指と靴の隙間を捨て寸と呼びます。親指ばかりでなく、すべての指が圧迫されていないことが重要です。 「靴の大きさは踵に指が一本入るくらいが良い。」とする意見がありますが、それではフィッティングではありません。足型に合っていない、大き過ぎる靴を引きずるだけです。踵を付けて靴紐をしっかり結びましょう。
メーカーで靴を選ぶのは馬鹿げています。靴は目的により選んでください。ブランドに頼って、特に服や鞄のデザイナーの名前がついている靴は、ただ名前を貸しているだけなのが多いと思います。ブランドではなく自分の足の感覚にたよってください。このサイトはそのための情報を提供します。 同じメーカーでも色々なラスト(木型)の靴を作っており、自分の足形にラストが近い事が重要です。例えば中等度の外反母趾ならば、自分の足形に近い整形靴を選んで、調整すれば良い靴が出来ます。 例えば、関節リウマチによる重度の外反母趾とか、一部を切断した足などでは、写真のような特注のラストを作り特注の靴を作ります。 たとえ特注の靴でもラストが合わなければ良い靴は出来ません。
英語でコンフォータブル・シューズ、ドイツ語でベクエム・シューが正解です。 つまり靴には3種類あります。 1. コンフォータブル・シューズ : 買い物、通勤など日常的に使う靴です。 2.ドレッシー・シューズ : パンプス、ミュール、スリッポンなどのお洒落用の室内履きです。長く歩くための靴ではありません。 3.ワーキング・シューズ : 目的に合わせた靴、つまり運動靴、安全靴、スキー靴、スケート靴、長靴、ダンス・シューズ............などなど 日本人は靴の使用目的を間違えて、ドレッシー・シューズで駅の階段を上り下りする人が大半ですね。 つまり、コンフォータブル・シューズ は中途半端なおしゃれ靴ではなくて、完全な実用靴なのです。外反母趾が当たらないような先端が丸いのは当たり前で、さらに、紐靴で踵のホールドがしっかりしている。インソール(中敷き)は足の土踏まずに合っている。アウトソールの堅さが適度で滑らない。などなど 一番良いのは中敷きが脱着可能で、調整可能な整形靴です。整形靴はドイツ語でオートペディ・シュー、英語でオルソペディ・シューズです。これを一度履いたら止められません。
オーダー・シューズが必要な足は稀です。靴は作り方から3種類に分けられます。
靴紐で締める横から見て斜めの線を「靴の腰」と言い、特にしっかりと押さえることが重要です。足が内果の方に落ちてくる外反扁平足ではアーチサポートと伴に靴の側面でも押さえることが必要です。中敷きだけでは圧力が集中し過ぎるために痛みやタコを生じる事があります。つまり柔らかい靴に中敷きを入れても良い靴にはなりません。靴と中敷きのマッチングが重要です。
実は各靴メーカーも、靴を軽くする努力はしているのですが、現代の靴の重さが決定的要素では無い事を良く知っているのだと思います。ところが整形靴を知らない評論家は、軽い靴が良いと奨めるので、靴メーカーは当社の製品は軽い軽いと宣伝しながら、重量表示はしないのです。私は靴メーカーに同情してしまいます。このサイトを勉強すれば賢い消費者になれます。私は良質の靴を作るメーカーを応援します。 重量が軽い靴ではなく軽く感じる靴が良い靴です。 数グラムの差が気になるようならば、まず大腿四頭筋 (膝の上の太もも)などの筋肉の訓練を行うべきです。
この写真は同じメーカーの左はスリッポン、右は紐靴です。 履きやすい靴は歩き難いのです。というのは履きやすい靴は脱げ易いからです。日本ではスリッポンが日常の靴として好まれ、紐靴だと緩く結んだまま、脱いでも結び治さない方もいますね。そして、患者さんに紐靴を勧めると紐を結ぶのが面倒なので嫌がる方が多くいます。しかし、紐靴が機能的にはベスト、次がベラクロ(マジックテープ)です。スリッポンは羽の部分をゴムで押さえているドレッシー・シューズ(おしゃれ靴)なのですから、長時間の歩行には向きません。 スリッポンを制靴として指定している中学、高校がありますが、靴の重要性についてあまりに無頓着だと思います。靴は足の形に合わせるべきであり、学校に制靴があるのが靴の後進国の証明であると思います。
使えません。なぜなら中敷きは靴の状態に合わせて微調整して作るのです。通常の市販靴では5-10mmの薄い中敷きしか入らず、薄い中敷きでは効果があまりありません。中敷き調整するためには20-25mm程度の中敷きの取り外せる整形靴が必要です。 整形靴のモデル(型番)によってはアッパー(靴の背の部分)の材質、色の違いなどだけのモデルがありますので、その場合には入れ替えて使うことができます。最近は色々なデザインの整形靴が輸入されて選べる様になってきました。
シューフィッターに"どう依頼するか"が問題です。シューフィッターはお客の希望に応じて靴を選びます。「かわいくて、足が痛くならない、長く歩ける靴をください。」とお客が言えば、どうしても中途半端な靴になってしまいます。 「歩き易い靴をください。」と言わなければ健康に良い靴は売ってもらえません。 「シューフィッターは靴の勉強をしている。」とは言えますが、教育期間は数日間から数週間と短く、国家試験も無いので、充分とは言えません。一方、日本の多くの病院には義肢装具士がおり、靴について良くやっている人もいますが、靴に関しては制度として不十分です。義肢装具士はほとんど、健康保険が適応になる仕事をしています。しかたのないことですが、健保には給付の金額、一定期間、通常は1年6カ月過ぎないと次の靴の給付ができ無い、などの制限があります。 一方、ドイツの整形外科的靴職人、OSM(オートペディ・シューテヒニカ・マイスター)の資格は教育期間は6年間で国家資格です。OSMに病気の名前を言えば、完全に理解していますし、オーダーシューズ、インシュー、義足まで作る高度な技術を持っています。ドイツの病院ではOSMは医師と協力しながら働いています。整形靴職人の資格制度を作る必要があると思います。
整形靴を調整するためには大きくて高価な機械設備が必要です。つまり.... 1.整形靴の種類、在庫が豊富な事 2.整形靴を扱う技術者 3.機械設備 4.足と靴医学に精通した整形外科医師と連携している。 の4つの条件が必要です。日本では数える程の会社しかありません。
整形靴では底が磨り減った時には靴底(アウト・ソール)をそっくり取り替えることが出来るので、使い捨てでは無く、長く使えます。私も気に入った整形靴は何度もアウト・ソールを交換しています。驚いたことにアウト・ソールを交換した古い靴は新品よりもずっと履き心地が良いのです。つまり、アッパーの革は自分の足型に馴染んでいますから、新品のアウト・ソールと組み合わせると最高の履き心地が得られます。長い目で見ると整形靴は最も経済的です。 「靴にお金をかけるのはもったいない。」と思うかもしれませんが、靴こそ「健康が買える。」物です。靴にお金をかける価値が有ると思います。
そこで普通の靴は歩きやすさとお洒落の妥協した靴を作っているのです。 これは纏足(てんそく)による足の変形です。昔、中国で纏足と呼ばれるファッションが流行しました。親が「良い家にお嫁に行けるように」女の子の足を布で縛って、大きく育たないようにしました。女の子の足は小さく、小幅で歩くのが美しいとされていたからです。足は酷く変形し、ゆっくりと短い距離だけ歩ける足になってしまいました。昔、纏足をされた老女は現在、骨粗鬆症、腰痛など、全身に悪影響が出ています。 足を現在のハイヒールの形に作り変えています。 ハイヒールは、現代の纏足です。靴はTPOに合わせて、履き分ける事が重要です。例えば、冠婚葬祭では、コンフォータブル・シューズで行き、会場内だけ「きめ」ましょう。 もともと欧米では、フッショナブルな靴は室内、ガーデンや車で移動する時に履く靴です。ピンヒールを履いて、酔って駅の階段で転んで、病院に担ぎ込まれる人が多数いらっしゃいます。お怪我をなさる前に靴に気を付けて欲しいものです。「履き分け。」が大事です。 ホームに戻る / 次のページは足底挿板の費用 |