以下は2003年4月26 - 27日第16回日本靴医学会 仙台市にて発表しました。
強剛母趾に対する整形靴
町田英一
高田馬場病院整形外科 〒171-0033豊島区高田3丁目8の9
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【目的】強剛母趾は母趾の変形性関節症に進展する関節症であり、母趾のMP関節の背屈により同部に強い疼痛がある。背屈を押さえる靴調整をすれば症状を抑える事ができる。軽症例と手術を希望しない例では保存療法として整形靴を用い、中等度では関節唇切除術cheilectomy後に整形靴を用い検討した。
【方法】保存療法は15例で女性9例、男性6例年齢は44歳から78歳、平均58歳である。術後に用いたのが18例、男4例、女14例、年齢は13歳から77歳、平均52歳である。2例は両足に施行した。
整形靴は紐の革靴を30例に用い、3例はスポーツシューズを用いた。術後の5例では室内でも調整したサンダルを用いた。
アウトソールの加工によるトォー・スプリング、インソールの加工による母趾の底屈、ブラスチックプレートによるMTP関節部の強化などを組み合わせて行った。
【成績】6ヵ月の経過観察では保存療法例は13例87%、手術例では17例94%が整形靴を用いていた。整形靴以外も履ける様になったのは保存療法では4例27%、手術例では11例61%であった。
【結論】軽度の強剛母趾で背屈時痛はあるが歩行時痛が無い程度では整形靴による保存療法でも満足する結果が得られた。歩行時痛のある例ではなるべくcheilectomyを行うように患者に勧めている。 中等度の強剛母趾では術後にギプス固定を2週間行い、その後には整形靴が必要であると思われた。
母趾MTP関節の関節症が進んでいる場合にはCheilectomyでは痛みが残ることがあり、一般的には関節固定術の適応である。一方、関節症性変化が強い例でもCheilectomyを行い、可動域を改善してから術後に靴調製を行えば、関節固定術を行うよりも良い場合があると考える。
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