【目的】
1998年よりMann's procedure (proximal osteotomy with distal soft tissue procedure )を60例に行ってきた。しかし、成績不良例もあるため、2008年からIMPを新しく考案し、31例に施行したので報告する。
【対象】
母趾回旋変形を伴う外反母趾角30度以上の中等度から高度の外反母趾、31例35足、全例女性である。
【方法】
1. micro sagittal sawを用いて第1中足骨近位にdistal base の proximal chevron osteotomyを行う。
2. 第1中足骨遠位へのcontrol pinを刺入する。
3. 第1中足骨近位骨切り部を引き出し注射針を一時的に刺す
4. 術者の片手でcontrol pinを使って第1中足骨遠位骨片の回旋、外反、底屈を矯正して保持する。
5. 術者の反対側の手で第2中足骨を通過させて第1中足骨に横方向に2mm K-wire 2本を刺入して皮下に埋め込む。
6. DSP : distal soft tissue procedure (関節包切離、母趾外転筋切離)
7. 母趾MTP内側の bunionectomy で移植骨を採取し骨切り部に骨移植
8. 母趾MTP関節がdorsal exostosis にてlockされて背屈ROMが足らない時にはcheilectomy(関節唇切除術)
9. DMA (distal metatarsal angle)が大きい場合には, biplanar distal chevron osteotomy
7. K-wire は約4ヵ月後に局所麻酔、イメージ透視下に抜去する。
【結果】
手術時間は40-50分間と短い。全例良好な骨癒合が得られた。母趾背側の知覚以上が3例、DMAが大きいのにdistal osteotomyを追加しなかった例での外反母趾角の矯正不足が4例に見られた。過矯正による内反母趾は無い。母趾回旋の過矯正が1例にあった。K-wireの位置不良による早期の抜けが2例にあり、他の例は骨癒合後のK-wire 抜去は容易であった。
【考察】
IMPは第1中足骨の回旋を自由に強固に短時間で固定できる内固定方法である。皮切が小さく、皮切が主に内側面にできるので目立たない。欠点としてmicro sawが必要、矯正の自由度が極めて大きいので手術に熟練を要する。