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足と靴の医学 / 整形外科医師 : 町田英一
2017年3月9日更新

陥入爪と巻き爪に関する質問集

爪矯正具(マチプレート、マチワイヤー)については多摩メディカル社のサイト tama-medical.comを御覧ください。

陥入爪と巻き爪は何科に行けは良いのでしょうか?
  不思議に思われるでしょうが、病院によって違います。形成外科,整形外科,外科,皮膚科などで診療します。陥入爪の手術は日本では戦後に整形外科、形成外科が導入してから多く手がけられるようになりました。そして今では何科の医師でも治療を行っていますが、具体的な治療方法は色々です。手術方法は多くの先生に知られていますが、爪矯正については日本では、まだ知られていません。

 私がお奨めするのは爪矯正治療を学ばれた先生にお掛かりになることです。日本全国で500人ほどの医師が行っています。どの病院で扱っているかは、爪矯正具(マチワイヤ,マチプレート)の多摩メディカル社のサイトの「爪矯正を行っている病院・医院リスト」を御覧ください。

陥入爪と巻き爪はどう違うのですか?
  陥入爪は爪の角がトゲのように軟部組織(肉)に刺さって炎症を起こした状態を呼びます。巻き爪は爪が横方向に巻いている状態を呼びます。陥入爪の人は巻き爪になっている事が多く、爪の角を切ると一時的に痛みはなくなりますが、爪が伸びたときに、さらに巻き込み、より重症な陥入爪になります。こうした例では一般的に爪の幅を狭くする手術を行いますが、マチワイヤ、硝酸銀、コットンパッキングを用いた爪矯正で元の幅のまま治せます。

巻き爪(弯曲爪 incurvated nail) 「の」の字型に巻いています。この例ではマチワイヤを2カ月ごとに入れ替えて半年から1年くらいで平らに出来ます。


なぜ治り難い陥入爪があるのでしょうか?
 陥入爪と巻き爪が合併すると治り難いのです。巻き爪の無い陥入爪はコットン・パッキングなどで爪の角が刺さらない様にして、爪が伸びれば治ります。ところが陥入爪と巻き爪が合併している場合が難しいのです。手術では陥入爪は治せても、爪を平らにする事は出来ませんから、手術では巻き爪は治せません。

コットン・パッキングはどうやるのですか?
 コットン・パッキングは尖ったピンセットで爪の角に米粒くらいの大きさの乾いた綿花を入れます。毎日、入浴後にすこしずつ綿を詰めると肉がどいて、トンネルができ、爪が肉(軟部組織)に刺さらなくなります。消毒は炎症が無い場合には必要ありません。

 爪が伸びて、先端が肉から出たらマチワイヤを付けて矯正します。コットン・パッキングが出来ないときにはマチプレートを用いて矯正を始めます。

陥入爪で爪が伸びると、近所のお医者さんで角を切ってもらっていますが3カ月もするとまた痛くなります。どうしたら治るでしょうか?
 爪の角を切ると軟部組織に刺さらなくなりますから、一時的に痛みは軽くなります。ところが爪が伸びるとよけいに巻いてしまいます。
 巻きが軽い時期ならば爪の角に綿を入れて、軟部組織を押して、爪が伸びるのを待ち、爪が刺さらなくなれば痛みはおさまります。巻きが強い場合には爪を充分に伸ばしても、歩くと痛みが出ます。その場合には爪矯正をお勧めします。

陥入爪の原因は何ですか?
 陥入爪の原因は3つです。深爪、足に合わない靴、ぶつけた場合です。特に深爪が主な原因です。深爪をすると歩いた時に床からの力で軟部組織が爪の縁から持ち上げられ、その軟部組織が爪を押して巻き爪になります。また、靴下が切れてしまうので爪の角を切って深爪にしてしまう人もいます。爪をぶつけると爪の縁の軟部組織が腫れて持ち上がり、爪を押すので巻き爪になります。

 靴も原因の一つです。ハイヒールなどのトゥー・ボックスの狭い靴を履くと爪が押されるので深爪をしがちになります。逆に大き過ぎる靴も巻き爪の原因になります。例えば長靴は靴の中で足が動きすぎるので、爪が押されます。先の丸い紐靴をお奨めします。

 陥入爪が激しい化膿、炎症を起こすのは爪の角が爪のトゲになり肉に刺さるからです。この写真の例では爪のトゲが肉の外に出ていますので強い痛みはありません。このトゲが肉の中にあると恐ろしい陥入爪になります。

巻き爪で爪が厚くて硬いのはなぜですか?
 巻き爪になる原因は深爪で、深爪をすると爪の先端が軟部組織(皮膚や肉)に刺さるので伸び難くなります。すると前方に伸びられないのに爪の根である爪母では爪が次々に作られるので爪が厚くなってしまうのです。また爪は爪の下の爪床から常に水分を供給されているために弾力を保っているのです。そこで巻き爪で爪床との隙間ができて水分が得られないために硬くなります。

この写真はマチワイヤによる治療により、巻き爪だった爪が平らになっています。そこで根の部分にあたる部分(爪母)に近い爪が正常な厚さに戻って段ができているのがわかります。

巻き爪ですがほとんど痛くありません。それでも治療は必要ですか?
 巻き爪による痛みは歩いたときに爪の縁が軟部組織(皮膚や肉)に刺さるからです。一方、 陥入爪では爪の角がトゲになっていて肉に刺さります。 巻き爪でも爪を伸ばして、爪の角が 軟部組織の外に出ていれば、真っ赤に腫れる程の炎症は起こしませんから痛みは強くはありません。
 巻き爪で、爪の角が出た状態では、爪の縁が前から見て90度に立っている時に力が加わると痛みます。日常の生活では痛くなくとも、旅行に行って長く歩いたりテニス、スノボ、スキー等をすると痛くなります。逆に片麻痺などの病気で足に力が入らない人は巻き爪でも痛くはありません。
 御自分の状況に合わせて治療を受けるようにお勧めします。爪矯正は痛くありませんから軽いうちに治したいものです。

爪を伸ばすと痛みがあるのですがどうしたら良いのでしょう?
 陥入爪治療の第一歩は爪を伸ばすことです。爪を伸ばすためには爪の角に軟部組織(肉のこと)が当たっていてはいけません。そこで、爪の角の下に綿を詰めてください。尖ったピンセットで米粒ぐらいの綿を毎日すこしづつ詰めます。最初は痛いのですが毎日詰めると肉が押されて鼻の穴のようにトンネルができます。こうして爪の角を肉の外に出るまで育てる感じです。

 足の爪は月に約2mm伸びますから、例えば8mm深爪をしていれば4カ月かかります。注意することは、一度に綿を詰めすぎて爪を割ってしまうと、その割れた所が新しい爪の角になり肉に刺さって、再び炎症を起こしてしまいます。肉の中に長い期間あった爪は水分が多いので魚のウロコの様に軟らかくて折れやすいのです。

多くの場合、マチワイヤまたはマチプレートによる爪矯正を併用します。

陥入爪の手術はどうやるのですか?
 陥入爪は爪の角が爪の周りの肉に刺さっておこります。そこで、爪の幅を狭くする方法が一般的です。爪の縁を爪の根(爪母)まで切り取ります。このままでは再び生えてきてしまいますから、爪を生えなくする処置は2つの方法があります。1つは骨まで爪母細胞を掻きだす方法(爪郭爪母楔状切除術 : 以下切除術)とフェノール法です。

 どちらの方法でも局所麻酔をかけます。はじめに注射針を入れる時に痛みがありますが、その後は局所麻酔は良く効きます。爪の縁と軟部組織(肉)を切り取ります。そのままですと再び爪が生えてきてしまいます。生えないようにする方法は2つあります。一つは骨まで細胞を掻爬(そうは)する方法です。他はフェノールを数十秒間接触させて爪母の細胞殺し、すぐに流します。そして切除術の場合には爪と皮膚を縫ってよせておきます。フェノール法ではそのまま開放創にしておきます。 フェノール法では手術後の腫れがあっても圧力が逃げるので痛みはそれほどありません。縫う場合には1-3日間くらい痛みがあります。問題は爪母の処置をていねいに行っても爪が再び生えてくることがあります。

 特にフェノール法は再発が多いのです。痛い思いして手術をしたのに、また陥入爪になる人が少なくありません。そして、手術後に生えてきた爪はひどく変形してしまうことがあります。
局所麻酔の手術なので普通は入院せずに帰宅してもらいますが、やはり、手術後3日から1週間くらいは日常生活はできません。

陥入爪の手術はどうして良くないのですか?
 爪矯正を始める前には私も他の先生方と同じく、多くの患者さんに陥入爪の手術を行ってきましたし、現在でもマレに行っています。手術をすれば永久に完全に治ってしまう気がしますが、陥入爪の場合には違うのです。残念ながら、手術では爪の形を平らにすることはできません。この手術は日本ばかりでなく世界中で同じような方法で行われています。いまでも数多くの先生がこの手術を行っています。そうした先生でも「この手術は整容的に問題がある。」つまり見た目が悪い、と言っています。しかし本当は見た目ばかりでなく使い勝手にも問題があるのです。それは爪の幅が狭くなると指先にかかる力を分散できないので指先が細くなり、充分に力が良く伝わらなくなるのです。足の場合には「爪を狭くすると踏ん張れなくなる。」と言われています。

 この写真の爪は22歳の女性で3年前に陥入爪のために爪の幅を狭くする手術を受けています。手術はうまく行われていますが爪の幅が狭くなっているために、爪の両脇の肉を押さえることができません。そのため、赤く腫れています。そして 指先が細くなり、山歩き、テニス、スノボでは足指の腹に痛みがあります。

前から見ると爪の幅が狭くなり、残った爪は弯曲しています。爪を取る手術では爪の弯曲を治せません。

 手術は1-2週間で炎症はおさまりますから「手術の方が早い。」と考えている医師、患者さんもいますが、実は2-5年後に再発する事が多くあります。一方、爪矯正は確かに時間がかかります。しかし爪矯正を行っている間も仕事、スポーツも問題なくできます。爪矯正で治した場合は原因となる深爪、先の細い靴、ぶつけることを行わなければ再発しません。

 爪矯正は日本では始まったばかりですが、マチプレートとマチワイヤの出現により、非常に成功率が高いので多くの先生方に広めて、患者さんに喜んでいただきたいと思います。

なぜ医者は爪を取りたがるのですか?
 私も爪矯正を始めるまでは爪を剥がしていました。その理由は手術をしないで、化膿した状態が続くと、細菌が奥深くに入り込み、骨にまで達する危険が有るからです。骨に細菌が入り込むと、骨が溶けてきます。これを骨髄炎と呼び、切断以外に治療法が無くなるのが普通です。また、化膿した状態で抗生物質を何週間も飲むと、細菌が薬に抵抗力をもって効かなくなります。例えばMRSA「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」と呼ばれる菌が体の弱っている人に着くと生命まで危険です。

 爪を剥がしてしまえば、爪が刺さらなくなりますから、とりあえずは化膿は治まります。ですから、爪矯正を始める前は、「薬に頼らずに早めに爪を抜かなければいけません。」と私も医学部の講義で学生に教えてます。「切らなければ危険でMRSA、骨髄炎、指の切断」と外科医ならば誰でも知っているので、陥入爪を診ているのは非常に辛いことなのです。そこで、医師は嫌がる患者を説得して爪を剥がす手術をするのです。

 このレントゲン写真は89歳、女性の母趾です。陥入爪のために細菌が骨まで溶かしています。1年前から寝たきりで、足の血流が悪く、骨髄炎になったと考えられます。しかたなく、指を切断しました。重症の糖尿病などがなければ、こうした事は稀ですから、治療を行えば、心配する必要はありません。

 医師が「このままでは指が腐ってしまう。」と言うのは、間違いではありません。巻き爪、陥入爪の治療には手術と爪矯正がありますが、 爪矯正を行わなければ爪の一部または全部を剥がすのが必要になります。しかし、爪を剥がしても再び弯曲した爪が生えてきますから再発します。そのため、爪の幅を狭くする手術、鬼塚法フェノール法が多く行われています。爪矯正を行えば、こうした手術はほとんど必要ありません。

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