2014_日本小児整形外科学会_抄録
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  足と靴の医学 / 整形外科医師 : 町田英一  

2013年11月8日 第24回日本小児整形外科学会_イブニングセミナー_抄録

 

小児の爪変形



町田 英一

高田馬場病院、日本大学整形外科 兼任講師
     Takadanobaba hospital,
Nihon university, Department of Orthopaedic Surgery


 著者は1997年、「形状記憶合金による爪矯正」を提唱し、従来の、「爪の形は先天的に決まっており、痛みがあれば切除する。」 とする治療方針に意義を唱えた。現在ではマチワイヤ(形状記憶合金ワイヤ)による爪矯正が巻き爪の第1選択とされるまでになった。(日本形成外科学会)

 成人に比べて小児では陥入爪、巻き爪、爪下外骨腫などの爪変形は少ないが、ネイル・マトリックス(爪母)に侵襲を加える手術は生涯に渡り影響する。小児は爪矯正に良く反応し、従来は手術適応である例が減少している。ネイル・プレート(爪甲)の形態は手指、足趾の機能に重大な影響を与える事があり、また爪下外骨腫、扁平足、など手、足の疾患により爪は変形する。

 爪の変形は、爪だけに目を奪われてはならず、末節骨、足の立体的な構造、指先に掛かる応力について観察し、爪矯正、手術、足底挿板などの治療を組み合わせる必要がある。

 爪変形には指のX線写真が必要で、末節骨の形態は個人差が大きく、側面X線でネイル・ベッドが弯曲している事が多い。爪下外骨腫は小児ではX線では写らない軟骨部分(cartilage cap)が大きく、手術時に明らかになる。外反扁平足では足趾の爪に床からの応力が減るので巻き爪の原因になる。中足骨短縮症は無症状の事が多いが爪が変形する。

小児の爪変形は足の機能に直結し、整形外科の重要な課題である。


dr-machida.com 2014年3月12日更新